再電離期(z=6-8)の銀河の性質に関するJWST論文(Endsley+22, Chen+22, Laporte+22)

 

再電離期(z=6-8)の銀河関連JWST論文

stellar populationなど→Endsley+22
UV, optical morphology→Chen+22 (おまけ)
protocluster候補報告→Laporte+22(おまけ)
 
A JWST/NIRCam Study of Key Contributors to Reionization: The Star-forming and Ionizing Properties of UV-faint z~7-8 Galaxies

Ryan Endsley, Daniel P. Stark, Lily Whitler, Michael W. Topping, Zuyi Chen, Adele Plat, John Chisholm, Stéphane Charlot

arXiv:2208.14999

要旨

118個のz~6.5-8のUV-faint(median MUV=-19.6)なLBGの性質をCEERS NIRCamデータで探った。SEDは~10-50Myrの若くてlow-mass(M*~10^8 Msun)な星種族が支配的であった。UV-brightなものと比してsSFRは5-10倍高く、電離光子生成効率の高さを示唆する。その割に[OIII]+HβのEWの伸びは小さく、金属量がかなり低い(<3% Zsun)のかもしれない(あるいは電離光子脱出率が高くnebular lineが弱い/10Myrくらい過去に星形成が止まった)。UV slope βはmedianが-2程度だったがかなり赤い(~-0.6)ものもUV faint側に数%存在することがわかった。

Fig6: SED fit examples. 深いNIRと3μm以上に4バンドあるおかげでSEDが以前よりよく決まる。
Fig7: SED fitで求めたLBGのM* vs MUV plot. 色はconstant SFHを仮定したときのage
サンプルの94%がz=6.5-8のUV LFのL*(MUV=-20.5)以下であった



1. Introduction

再電離はz~5.3には完了し、z~7-8には半分くらい完了したとされる。QSOの光度関数はz>3で急速に小さくなるので、再電離の主役は星形成銀河であろう。

HSTの打ち上げ、その後のWFC3の登場により2010年代の再電離期のLBGの理解が進んだ。 UV LFのfaint endがz>7でsteepになっていくことが見出され、UV-faint銀河が支配的な種族であることがわかった。UV continuum slope βは-2.5<β<-2とかなり青いこともわかった。

JWST以前は、さらにSEDの特徴を知るためにSpitzer/IRACの3-5μm測光値が使われていた。しかしBalmer break(~300Myr, M*~10^10-11 Msunを示唆)と強いHβ+[OIII](<50Myr, M*~10^7-8 Msunを示唆)などの区別は感度不足で難しかった。後者は電離光子放出効率も良いので再電離の文脈でこの区別は重要である。

JWST/NIRCamはIRACの30000倍の感度があり、filter setもphotozの改善だけでなくBalmer breakと強輝線の区別に都合が良いものになった(3-5μmで2bandから4bandに増えた)。これにより再電離期のUV faint銀河の星形成だけでなく電離光子を出す能力も格段に探りやすくなった。

本論文ではCEERSのNIRCamデータ(7 bands from 1-5μm)を使って再電離期(z~6.5-8)の典型的なUV selected 銀河(LBG)のrest-UV - optical SEDを解析し物理的性質を探る。

 

2. データ&サンプル

CEERSのEGS fieldのJWST/NIRCam(40arcmin2, F115W, F150W, F200W, F277W, F356W, F444W, F410M) + HST/ACS(F435W, F606W, F814W)撮像データ

medium bandであるF410MがBalmer breakと強輝線の区別の鍵

NIRCamデータのcalibrationに関して:"Before processing the files through the stage 3 step of the pipeline, we revise the photometric calibration specific to each NIRCam detector using the latest updated parameters provided by the NIRCam PI Marcia Rieke (private communication in late August 2022). This updated calibration changes output fluxes by up to ≈0.2 mags relative to the default parameters produced by the JWST Science Calibration Pipeline"

PSFはNIRCamの波長短い側3バンドはACS/F814に合わせ、長い側4バンドはWFC3/F160Wに合わせる→aperture補正で公平に

z~6.5-8のLBGを選ぶため、SExtractorでF150W+F200Wのスタック画像を検出バンドとしてKron aperture測光(k=1.2で測って適当な比かけてtotalな値に変換)
4x4arcsec2以内の天体はPSF合わせ前の各バンドでSersicでfitしてパラメータを求め、なましてからPFS合わせた画像から引く(以下Fig1が一例)。


subtractionにより短い側では0.1mag、PSFの大きい長い側では0.3-0.4mag暗くなるので、これをしないとより赤い結果になってしまう。影響の大きさを鑑み、subtractionありとなしのカタログ両方用意し、画像上でみて影響を受けてそうなものにのみsubtractした値を使う。うまくいってなさそうなものは除く。

CEERS+ACSのある31arcmin2の領域で以下のinitical cut を実施:
(i)   S/N<2 in F435W, F606W, and F814W
(ii)  F606W−F115W>1.7 and F814W−F115W>1.7
(iii) F115W−F200W<1.0  (←わりとβが赤いところ(-1.5<β<-0.3)まで許されるcut)
(iv) F814W−F115W>(F115W−F200W)+1.5

さらにF200WでS/N>5, F150WでS/N>3, F277Wおよび赤い側の少なくとも2バンドでS/N>3, F200W<28などを課し絞る → visual inspection

brown dwarfと矛盾しないカラーのpoint sourceは一つだけ見つかった(→除く)

一部の候補はseparation 0.5"以下の複数コンポーネントを持つ→1つとして扱い測光し直す

→ 118個のz~6.5-8 LBG候補

Fig2: 27.5mag以下はACSの感度とLyman break cutのせい。F150W-F200Wの分布はβの多様性を反映している(median~0, corresponing to β~-2)。

 

Fig3: rest-opt color of LBGs. F410Mとこのカラーを組み合わせればBalmer breakが区別できる

さらにBEAGLE+BC03+CLOUDYを使ってSED fitする
constant SFH, Chabrier IMF 0.1-300Msun, dust  to metal mass ratio ξ_d=0.3, SMC curve, Inoue2014 IGM
z=5-10, log-uniform prior for 5 < log (M*/Msun) < 12, -4<logU<-1, age: 1Myr - age of Universe, -2.2 < log (Z/Zsun) < 0.3


3. Results

Fig4: JWSTによる改善のデモンストレーション。Lyman break付近だけでなく~3μmより長い側でちゃんと受かっており、F410Mでのexcessがはっきり見える。

 

Fig5: 118個のLBGの物理量の分布。MUVのmedian = -19.6は0.4×L*(@z=6.5-8)程度で、94%がL*以下であった。

 

Fig6: 52%はCSFH age=10-50Myr(左側パネル)、19%はBalmer breakの兆候を示す比較的oldな系(右から二番目)、29%は強輝線のかなり若い系(一番右)。

βは-2を中心に分布しており、これは予想どおり。めちゃくちゃ青い系はTopping+2022bで議論(柏野さん発表)。3.2, 3.3では予期していなかった「若いけど輝線が弱い種族」と「UVで暗めでかつUV slopeが赤い(-1.3<β<-0.6)もの」を取り上げる。

 

3.2 Weak [OIII]+Hβ emitters at z~6.5-8

感度の問題でこういった種族は探査できていなかった。

 
Fig8, 9: 若くて弱輝線なものの例と輝線EW vs Age plot. Fig9の破線内が若くて弱輝線な領域(27/118, 23%

z~2の[OIII]+Hβ emitter研究ではこれほどEWの低くて若いものは見つかっていない(いてもage~100-500Myr, Tang+19)

低金属量(<3%Zsun)、high LyC leakage (due to density-bounded HII regions), 10Myr以内の急激なSFRの低下、などの説明がありえそう
3つ目のパターンでは、SFR低下前のhigh sSFR populationも今回見えており、simulationでもこういったintermittentな?SFHは再現されているらしい

今後直接温度法でのmetallicity決定やNIRSpecでのCIV P-cygniの探査などが大サンプルで進めば切り分けられるかも

Fig10: 若くて弱輝線な種族の説明、high f_escのパターン(上)と急激なSFRの低下(15Myr前にshut off; 下)


3.3 Very red UV-faint galaxies

z=6.6-7.0のsub-L*銀河たち with -1.3<β<-0.6 → ダスト減光前は-22< MUV < -21くらい(それでもこれまで見つかっていた赤いLBGより暗い)
EW([OIII]+Hβ)>800と輝線も強そう

Fig11: redなもの4例(3%)。

SED fitでは最近のburstに敏感なため2-4×10^8 Msunくらいと低めの星質量が出るが、PROSPECTORのnon-parametric SFHで出すと10^9から3×10^10 Msunが出てくる

0.5L*ほどと暗いところでもかなりdustyな種族がいることを示す
数的には少ない(今回は3%)がobscured SFRも考えるとサンプルの合計SFRの17%を占める(もっと高いかも)


3.4 MUV dependence of sSFR and [OIII]+Hβ EWs

Fig12: sSFR VS MUV. 明るい側から暗い側で5倍以上違う(赤中抜きはobscuredな分を補正した場合の位置)

 UV faintのほうがsSFRが高くLyC放出効率も高そう
→BEAGLEでξ_ionを出してみると明るい側より0.1dexほど高かった (logξ=25.72 vs 25.61)
 さらに、20%ほどが logξ>25.8 を示した(COSMOS sample(~2L*) では5%だけ)
→暗い銀河は以前思われていたよりもっと再電離に効いているかもしれない

 一方、[OIII]+Hβ EWの分布の違いはそれほど大きくなかった(↓Fig13)

3.2で見たような高sSFHだが輝線が弱いサンプルがそれなりにCEERSサンプルに含まれるせいかか

 

 3.5 Stellar mass of LBGs

今回のサンプルのSED fitから求めたM*は概して低い(median~10^8 Msun)

再電離期のわりに非常にM*の高い銀河が報告され(Labbe+22など)、理論とのtensionが問題になっているのでLabbe+22でM*=10^11.2 Msunと報告されたサンプルを以下で詳しく見てみる

 この研究のCSFHでのfitでは>3μmのexcessは輝線で説明され、M*~10^8.6 Msunとなる
一方Labbe+22ではnon-parametric SFHのPROSPECTORで強いBalmer breakで説明しており、M*が大きく出ている。この研究でもnon-parametricなSFHを採用すると大きな値を得るが、z=20-11でほとんどの星を作っていったんSFをやめ、ごく最近(数Myr以内)に再開するといったSFHが必要になる。

Fig14: CSFHでもnon-parametricでも長い側をうまく説明できていないとしている。
長い側で点源っぽいのでtype II AGN入りも試してよくfitできるとしている(右)。

現状この天体の星質量はかなりuncertainということになる。分光によるdynamical massの推定が望まれる。


 おまけ

・再電離期の銀河(MUV < -20)の形態(Chen+22)

http://arxiv.org/abs/2207.12657

・CEERS EGS fieldから6<z_photo<8, H<26.6 で12個選択→clumpyなものが多かった
・rest opticalでもrest UVでも形態ほぼ変わらず、可視でしか見えない古いcomponentとかはなかった模様
・サイズ-UV光度、M*関係はstar cluster complexesの大きい側にくる。JWSTでも分解できてないclusterの集合体なのではないか。

Fig3: カラーがrest optical, contourがrest UVの輝度分布を示す。かなりclumpyであり、rest opticalの放射もほとんどUVでトレースされるclumpと同じ場所から来ている(UVで明るくないバルジみたいな成分はなく、ほとんどの星質量はSF complexesに含まれている)。

 

Fig6: z=6.54銀河の各clumpごと、銀河全体でのBEAGLE SED fit。右下のパネルはinterclump regionの測光値を示し、ここでもF356Wでのexcessが見える。clumpや領域ごとにage variationがある。(C2,C3のfitは微妙に見えるが…)

Fig7: size vs MUV / M*. 赤が今回detectした個別のclumpを示す。star forming complexesに対応する位置にのっており、resolution以下のsuper star clusterの集合体なのであろう。


 ・再電離期(z=7.66)のprotocluster? (Laporte+22)

http://arxiv.org/abs/2208.04930

 SMACS0723-7327のデータを組み合わせてz>6のprotocluster候補を探したところ、分光確認された2つのz=7.66の銀河(separation~11")に加え、似たカラー、photo-zを示す天体を~20"(~60-90 kpc in source plane)以内に6個発見した。メンバーと仮定してセミアナやsimulationと比較するなどして求めたハローマスは~4×10^11 Msunであった(Comaの先祖に相当)。候補銀河は概ねmain sequenceに乗る。

まずNIRSpecのlevel 2 dataを使い1次元スペクトルを目でチェック→line listを一番明るい輝線に合わせてspeczを決定
→観測された35天体のうち、2つがz=7.665とz=7.659を示した

この時代のprotoclusterの典型的サイズが1pMpcと見積もられているが、coreはもっと小さいということで以降の探査領域を40"x40"に絞り、以下のNIRCam filterのみを使ったcolor-color図でz>7銀河を絞っている

Fig2: 黒点が2つのspec-z銀河と6つのphoto-z銀河の位置を示す


Fig3:白枠が40"x40"の範囲、赤・緑がspec/photo-z銀河。lensingのせいで簡単ではないが、protoclusterのサイズは直径120kpcくらいになる。

8個中WFSSの 観測範囲に入っているのが6個、うち2つはspec zあり、うち2つはfaintすぎて映らず、残る2つはstrong line映らず(Lyaやlow-zの兆候もなし)

Fig4: (左)推定されたzの分布。赤が全体、青が2つのspec-z銀河周囲の40"正方形内。(右)6つのphotoz候補のredshift確率分布。7.6に集中している。


Fig5: BAGPIPESでSFR,M*など推定してmain sequenceとともにplot. 青が今回の候補、緑が先行研究のz>7天体の分布。

halo mass: 星質量→halo質量の変換をBehrooziの関係や観測で示唆されている関係で行ったりtotal星質量をbaryon-dark matter fractionで割ったり して~4e+11Msunとしている。Chiang+13のComa class clusterのz<7の進化トラックを外挿するとz~7.6ではそのくらいになるらしい。

protoclusterまわりは大きな電離バブルが広がり、小さい銀河からの電離光子も出やすくなるので全体としてf_esc~20%とかになるかもしれず、こうしたclusterの空間密度が詳しくわかれば再電離のpictureが変わるかもしれない。

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