Early results from GLASS-JWST (主にNIRISSの論文)

1. GLASS-JWST 

GLASS-JWSTの観測領域(Abell 2744 at z =0.308; Treu et al. 2022)
赤: NIRISS/WFSS,imaging (F115W, F150W, F200W), 点線はNIRCam parallel (7 bands)
黄: NIRSpec (G140H, G235H, G395H), 点線はNIRCam parallel (7 bands)
緑: HFF central
  

  • Treu et al. (2022) in publication: サーベイ論文/science cases/public release plan等
  • Early results (全てApJL, 太字は今回紹介する論文)
        I. Roberts-Borsani et al. ー NIRISS/WFSSを使った二つの>7 lensed LBGsの同定
        II. Merlin et al. ー Parallel field (NIRISS)のNIRCam photometric catalog  
        III. Castellano et al. ー 七つのz phot >9 候補天体(NIRCam parallel)の発見. 
                                             一つはz phot=12.3でALMA で[OIII]追観測あり(Bakx et al. & Popping
        IV. Wang et al. ー z =3.06のlow-mass dwarf galaxyの金属量測定(NIRISS/WFSS)
        V. Yang et al. ー z >7 銀河(21天体)のrest-frame optical(NIRCam)のサイズ測定とsize-luminosity関係
        VI. Boyett et al. ー NIRISS/WFSSによる76 1< <3.4 SFGsの[OIII]λ5007等価幅
        VII. Vanzella et al. z =4の重力レンズ効果を受けた原始球状星団(NIRISS/imaging)
        VIII. Chen et al. ー z =2.65の重力レンズ効果を受けた星(NIRISS/imaging)
        IX. Marchesini et al. ー NIRISS/WFSSによる二つの>2 low-mass quiescent銀河の分光学的同定
        X. Leethochawalit et al. ー 7< < 9 銀河(14天体)の静紫外光-可視光(NIRCam)の性質
        XI. Santini et al. ー z >7銀河の星質量-光度(M/L_UV)比(NIRCam)
        XII. Treu et al. ー  NIRCamでみた>7銀河の定量的な形態解析(Gini係数やM20など)
        XIII. Nonino et al. ー 晩期T型褐色矮星(brown dwarf)の発見(NIRCam)
        XIV. Jacobs et al. ー NIRCamでみた0.8< z <5.4の217天体の定量的な形態解析
        XV. Glazebrook et al. ー NIRCamの長波長フィルター(F200W~F444W)で選ばれた銀河の性質
        XVI. Nanayakkara et al. ー 4< < 7 銀河(178天体)のUV slope(NIRCam)
        XVII. Dressler et al. ー SEDz* コードを使った5< z <7 銀河(24天体)の星形成史(NIRCam)  cf. 馬渡さん資料
 
 GLASS-JWSTのNIRISS観測 
  • WFSSで~15hr銀河団領域を観測
  • ~150 spectral resolution
  • やや深いF115W/F150W/F200W filterのimaging(~28.6-28.8 ABmag at 5σ)


2. Roberts-Borsani et al. (2022)

〈要旨〉
Abell2744銀河団領域を観測したNIRISS/WFSSのデータ較正について簡単に紹介すると共に、二つのz ~ 8 LBGの赤方偏移同定に成功したことを報告している。

背景〉
- z >7の遠方銀河はその候補がHSTで多く発見されつつも、赤方偏移の同定は長年の課題となっている。 
- これまではLyα輝線やALMA観測による遠赤外線([OIII]88μm)で頑張って研究されてきた。ただし、EoRにおいてこれらはバイアスされたサンプルである。 
- より一般的な銀河についてはLyman breakを分光学的に同定することがJWST/NIRISSによって可能となる。

〈NIRISSのデータ較正
Grizliを使用。Grizlipreprocessing pipelineで、WCS registration, astrometric alignment, flat-fielding, sky background subtraction, pixel drizzlingが行える。最終的なモザイク画像には30masと60masの二種類用意した。この論文では後者を使用。
また、Grizliは近くのcontaminating sourceを取り除くこともできる。

〈サンプル
既に報告されている>7候補をターゲットにspec-z を求める。特に明るくてcontaminationの少なそうなサンプルを選択(将来的には全候補についてsystematicに行う予定)。
F160W(or F125W)でmAB < 26の6天体中、比較的isolatedな3天体(GLASSz8-1, GLASSz8-2, DS7226)をサンプルとする。

(上段) 2D drizzled stacks (contamination removed)
(下段) 1D spectrum with 1σ uncertainties. F115WでLyman breakが見られる。
赤線はbest-fit Grizli continuum model(オレンジ線はcontaminationのもの)
GLASSz8-1に関してはHeII, OIII], NIII]輝線がpeak S/N比2.7σ, 2.8σ, 3.8σで受かっている。

Lyman breakによってspec-z
が得られたz >7 LBG。

なお、DS7226=2.6のinterloperであることがわかった。
GLASSz8-1GLASSz8-2は青いUV slope(それぞれβ =-1.69, -1.33)を持ち、若くdust-poorな銀河であることを示唆している(Morishita et al. in prep)。

rest-UV輝線の解釈
- OIII], NIII]輝線:低金属量(~0.001Zsun)の星形成源、或いは非熱的放射源
- HeII輝線:AGNや低金属量の大質量星などの強い電離源

より高いS/Nでこれらの輝線を観測し、調べていくことが今後望まれる。

〈要旨〉
NIRISSの高分解能画像で強い重力レンズ効果(μ=30-100)を受けた=4の星形成領域('System 3')を調べた。これらの系は有効半径3-20pc、星質量(0.7-4.0)×10^6Msunを持ち、同定された中で最遠方の星団(young massive clusters; YMCs)である。星団の光が近傍の領域内で占める割合の静紫外光(F814W)では~30%だが、二つのYMCsに関しては静可視光(F200W)で~12%にまで減少する。これは恒星年齢が<30Myrと若いことを示唆する。

JWST/NIRISSの三色図。'System 3'は三つの像(3a,3b,3c)で検出されている。
さらに、3aと3bの中にはそれぞれ三つのclump(3.1,3.2,3.3)が見られる。
赤線はμ=100の等高線。

JWST/NIRISSはHSTよりも約2倍分解能が良い。
星団は重力的に束縛されているか?
The dynamical age Π(系の年齢と横断時間の比; Gieles et al. 2011)が三つともΠ>1を満たすため、これらの星団は母銀河に束縛されていると考えられる。

星団の諸物理量
SED fitting(右図)により求めた。
- β~ -1.9
- Mstar =(1-7)×10^6Msun (近傍GCsと似た値)
- SFR < 0.1Msun/yr
- sSFR > 10 /Gyr (高い)

星団が紫外光と可視光で占める割合
2×FWHMのcircular aparture内で星団が占める明るさの割合を調べたところ、紫外光(F814W)ではどれも~30%となった。二つの系(3.2と3.3)に関しては、可視光(F200W)になると~12%にまで下がり、これは恒星年齢がまだ若いことを表している。一方で、3.1は比較的古く、SEDの結果とも整合的。

〈要旨〉
NIRISS/WFSSでz >2のlow-mass quiescent銀河二つを分光学的に同定した(z spec=2.650, 2.433)。これらの銀河のquiescenceはSED fittingの結果とも整合的である。なお、スペクトルに輝線は見らなかった。

背景〉
- これまでhigh-z で分光学的に同定されてきたquiescent銀河はlogMstar >10.5のmassiveなものに限られていた。
- z >2におけるlogMstar <10.5(これをlow-massとここでは定義)のquiescent銀河においてAGN feedbackやhalo quenchingが効果的なのかはわかっていない。分光学的同定が必要。

〈サンプル
- 候補天体をHFF-DeepSpace catalogsとASTRODEEP catalogsから選択。
- セレクション:m (F160W)<26.5, zphot >2, logMstar >8, log(sSFR)<-9.7 (右図上), use_phot=1(恒星を除去)
- visual inspectionで偽の天体を取り除いた。→ 25天体
- UVJ diagram (右図下)とSED fittingでBalmar breakが見られる天体を選んで、最終的に8個の候補天体を得た。
- このうち3天体がNIRISS観測領域外に位置し、さらに3天体は近くの天体のcontaminationが深刻だったため、2天体(ID 4877ID 5607)について解析を行った。

八つの候補天体のSED
二つのz >2 low-mass quiescent銀河のNIRISSスペクトル。
λrest ~ 4000ÅでBalmer breakが見える。輝線の兆候は見られない。
赤線はbest-fit Grizli model、青線はbest-fit FAST model(zspec込み)を表す。

Spec-z が求まったので、赤方偏移を固定して再度FASTを用いてSED-fittingを行った。その結果、Bergamini et al. (2022)のlensing magnification mapを使ってμを補正すると、
    ID 4877 (zspec=2.650):logMstar,corr =10.53, SFR< 0.1-0.2 (1σ upper limit), log(sSFR)< -12
    - ID 5607 (zspec=2.433):logMstar,corr =9.93, SFR< 0.1-0.2 (1σ upper limit), log(sSFR)< -11
が得られ、両者ともquiescentであることが確認された。


コメント